カテゴリー化の落とし穴

今月30日のSIM研修会「M-GTAカテゴリー化の極意―ライフストーリー、あるいは類型論との比較から」では、カテゴリー生成の極意を学びます。私は、講師の樫尾直樹先生からのメッセージ、「概念の縮約(抽象化)には思わぬ落とし穴があります。その落とし穴とは、結果的に複数のストーリーができてしまうということ、すなわち無自覚的に話のパターンの類型化を行なってしまいがちだということ(「樫尾先生からのメッセージ」研修会・イベント – M-GTA社会実装研究会 (sim-mgta.org))」に、ドキッとしてしまいました。

樫尾先生が書いていらっしゃるように、概念の縮約は、簡単なように思えます。それまで、データから逐語録を作成して、概念を生成・・というところまででかなりの労力を費やしてきたため、カテゴリー化までたどり着くと、ちょっとだけホッとすると言いますか、「似たもの同士でまとめるだけ」と簡単に捉えてしまい、結果として、複数のストーリーが出来てしまって、収拾がつかない、どうしたら、といった状況に陥りがちです。

『定本M-GTA』には、概念の相互比較において「M-GTAでは分析が拡散化しないように、分析テーマと分析焦点者の設定によって分析プロセスを制御する」とあります(木下,2020:161)。しかし、読み進めていくなかで、「継続的比較分析を多重的同時並行で進める」(木下,2020:159)といったキーワード的な表現につい目がいってしまって、原則的な部分をないがしろにしてしまうような、分析者自身が気付かない勘違いをしてしまうのではないでしょうか。樫尾先生の研修会では、異なった質的分析法と比較検討することで、M-GTAをわかりやすく理解していきます。内容の詳細・お申し込みはこちらから。

樫尾先生の研修会に参加するたびに、私の行ってきた分析は、「M-GTAもどき???」と猛省することが多いです(文:山本)。

引用文献 木下康仁(2020)、定本M-GTA実践の理論家をめざす質的研究方法論、医学書院、pp.159-161

素敵なお写真をありがとうございます(お写真はHarryさんにご提供いただいています)