インタビューについて(その2)

こんばんは。SIM理事の山本です。昨日、インタビューでの懸念点という記事を書いたところ、「もっと聞きたい」というお声をいただきました。(ちょっと嬉しいです)そのため、本日は、昨日の記事に書いた懸念点の一つ「答えにくい質問をしてしまう」について、私の考えを書いていきます。

「答えにくい質問をしてしまう」。聞きたいことはあるものの、上手く適切な言葉が見つからなかったり、或いは、あまりにも抽象的に聞いてしまって、相手がどう答えたら(どこに焦点をあててよいのか)わからなくなってしまうといったことです。また、核心を突いた質問というのも、関係が構築できていないうちは、なかなか答えにくいものです。

あくまでも私の場合でお答えします。たとえば、適切な言葉が見つからないときは「適切な言葉が見つからないのですが」と言ってしまいます。抽象的に聞いてしまった時は、相手が「うん?どういうこと?」という表情で気付くことが多いです。そういう時は「質問がわかりにくかったでしょうか。~ということがお聞きしたかったのですが」と、これまた、そのまま言っています。核心を突いた質問で、相手が戸惑ってしまう・・・これは、関係性が構築できない時は、難しいばかりか、関係が壊れてしまう可能性もあります。まず、関係を構築したうえで、聞いてみましょう。

昨日ご紹介したアイビィのマイクロカウンセリング技法には「開かれた質問」と「閉ざされた質問」というのがあります。「開かれた質問」というのは「具体的にはどんな感じですか」といったイエス・ノーで答えられない、相手に答えをゆだねた質問です。「閉ざされた質問」は「香港に行ったことはありますか?」といったイエス・ノーで答えられる質問です。「開かれた質問」では、相手の考えや思いを広く聞いていくことが可能ですが、場合によっては答えにくい質問にもなりえます。一方、「閉ざされた質問」はイエス・ノーで答えるため、答えやすいものの、それ以上話が広がらないという側面もあります。場面によって、こうした質問を使い分けていくことも大切です。良い質問、問いかけは、相手の内省を促すことにもつながります。いきなり聞きたいことを聞くのではなく、相槌やうなずきといった「はげまし」や、昨日ご紹介した「いいかえ、要約」をしながら、関係性を構築したうえで、質問をしてみてください。

30日(日)には第1回SIM研修会として、慶應義塾大学の樫尾直樹先生に「質的研究法におけるインタビューの実際」をご登壇いただきます。長年、フィールドワークにおいて数多くのインタビュー調査を行った経験を持つ樫尾先生ならではの、貴重なお話を聞けるチャンスです。SIM会員は無料です(お申し込みが必要です)。詳細はこちら。(文:山本)

Photo: Harry