M-GTAの可能性~何が問題で,どう解決したいのか~

私たち,M-GTA社会実装研究会(SIM)は,M-GTA研究の成果を社会実装することによって,ヒューマンサービスに携わる人たちを直接的かつ実効的に支援し,研究で社会に貢献することを目指しています。M-GTAは,従来の一般理論生成に留まらず,オリジナル版GTAの研究アプローチの特性を活かし,「今日的状況で実現すべく」実践しやすい方法に修正した「実践的な活用のための理論」です。

そうしたことを前提として,皆さんは,何を問題と捉え,どのように解決したいのでしょうか。ブログでご紹介したように,私にとっては,「専門知識の無いキャリアカウンセラーが,発達障害の可能性のある学生に対して,果たして適切な支援が出来ているのだろうか」を問題として捉えました。そのため,そうした「障害かどうかわからない学生を,まず,どのように見極め,どのように“適切に”支援したらよいのかを明確にしたい」と思いました。その際,ただ時系列で,「見極め」「支援方法」「結果」と並べるだけでは,現実の場面で実践的に活用することは,おそらくかなり難しいでしょう。人と人とが直接的にかかわり合う社会的相互作用の現場は,複雑で常に変化しているプロセス(木下,2020,p.212)であるからです。応用者が,活用しやすい,汎用性のある理論生成をしていけるのが,M-GTAの魅力であり,木下先生も「M-GTAを社会的相互作用を前提に,行為文脈設定型実装研究として提唱したいと考えている」と述べています(木下,2020, p.318)。

「福祉・家族」「学校・教育」「医療・看護」「企業・産業」といった領域で,どのような問題を,どのように解決していきたいですか。皆さんの問題意識が,M-GTAを通して,実践の場で有機的に活用していけることは,応用者にとってもサービスの受け手にとっても,相互作用的により良い支援,より良い関係性の構築に繋がっていきます。そうした世界を作っていける,可能性の大きさに,ワクワクします。

続きは,5/9(日)第1回SIM勉強会で。皆さまのご参加をお待ちしています。(文:山本)

photo: Harry

引用文献

木下康仁(2020)『定本M-GTA-実践の理論化をめざす質的研究方法論』医学書院

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