M-GTAの可能性~社会相互作用先で応用できる~

SIM 理事の山本です。本日は,私の研究について少しご紹介します。

私の研究テーマは,「発達障害のグレーゾーンに位置する学生への大学におけるキャリアカウンセラーの支援プロセス」です。学生へのご支援をしているなかでは,「ちょっと変わった学生」が居ます。たとえば,毎回遅刻をする,突然激高する,情報をまとめることができない,などです。ちょっとした違和感,あれ?どうしたんだろう?というような,というレベルです。そうしたなか,たまたま目にした文献から,そうした様子が正に「発達障害傾向」だとわかった時は,本当に驚きました。「変わっている」のではなく「障害」だとしたら,ご支援するにあたっては,適切な配慮が必要になるはずと考えました。

私たちキャリアカウンセラーというのは,臨床についての専門知識は,資格取得およびその更新にあたっては必要が無いため,カウンセラー側のバックグラウンド頼みとなってしまいます。先行研究の多くが,臨床の専門家からの視点であること,対象者が「グレー」ではない発達障害と診断をされている人であることから,「専門知識の乏しいであろうキャリアカウンセラーが,発達障害と診断のされていないグレーゾーンの学生に対して,適切な対応をどうしていったらよいのか」を明確にしたいと思い,研究のテーマとし,修論を仕上げました。

一方で,私の周りは,量の先生ばかりだったことから,M-GTAは独学で理解を進めました。そのため,社会実装とは程遠い,ただの結果図,時間軸でカテゴリーを表したものに留まってしまいました。だからこそ,今の仲間と学べる環境は,本当に嬉しいです。疑問や想いを仲間と共有することで,毎回,新たな気付きがあります。ぜひ,この嬉しい気付きを,SIM勉強会や部会を通して皆さまにも体感していただきたいと思っています。

私の研究テーマである「グレーゾーンという,定義が不確かな,相手の価値観に委ねられる対象者に対して,どう関わるかといったプロセス」は,実は,どこにでも身近にあります。一方で,そうした身近な問題は,現場では当たり前のようにあるため,「どうにかしたいけど・・」で留まっていることが少なくないとも言えます。こうした「周りにつたわりにくい,言語化出来ていない,意識していないことも含めて,言語化,プロセス化していく」ことで,社会相互作用先の現場で役に立てるように理論化していくことは,今後ますます求められていくのではないでしょうか。(文:山本)

photo: Harry

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